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2023年12月22日金曜日

「pcDuino3」でYocto Project その5

前回からの続きです。

このテーマを最初からご覧になる場合はこちらからどうぞ。


「Yocto Project」におけるレシピとは?

「Yocto Project」を使う上で、絶対に避けて通れないのが「レシピ」という概念です。

レシピって聞いて、皆さん何を思い浮かべるでしょうか?

そう、お料理のレシピですよね。


はい、これでもう「Yocto Project」のレシピは理解できたも同然です!


例えば、今晩の夕食はカレーライスにしようと思います。

カレーライス


まず「ご飯」のレシピを想像してみましょう。

「ご飯」を炊くためには、まず、お米が必要です。

お米は、何処で買いましょう?

どうやって、どのくらい研ぎましょうか?

炊飯器にどのくらいの水を入れましょうか?

どのくらいの時間蒸らしましょうか?

…などなど、細かく書くと意外と複雑ですよね。

次に「カレールー」のレシピです。

これは「ご飯」よりも、もっと複雑です。

何処産のターメリックをどれくらい使いましょうか?

何処産のカルダモンをどれくらい使いましょうか?

何処産のシナモンをどれくらい使いましょうか?

何処産のコリアンダーをどれくらい使いましょうか?

辛さは?

…こりゃキリがないですね。

他にも「野菜」や「お肉」の調理方法が書いてあるレシピが、カレーライスを作るためには必要です。


これを「Yocto Project」でLinuxディストリビューションを作る場合に置き換えてみます。

まず「Linuxカーネル」のレシピがあります。

「Linuxカーネル」をビルドするには、ソースコードが必要です。

ソースコードは、どこからダウンロードしましょう?

どのアーキテクチャでビルドしましょうか?

どういったオプションでビルドしましょうか?

どのようなモジュールを追加しましょうか?

…などなど「ご飯」の時と似てますよね。

他にも「ブートローダー」や「BusyBox」など、Linuxが動作するために必要な部材のレシピが存在します。

前回「git clone」して生成された「poky」というディレクトリの中には、これらのレシピがたくさん入っています。

料理のレシピは、紙のメモ等かもしれませんが、そこはLinuxなので「Yocto Project」のレシピはテキストファイル形式で存在しています。

拡張子は「.bb」です。

以下の通り「poky」ディレクトリの下層、たとえば「~/poky/meta/recipes-kernel/」ディレクトリの中には、たくさんのソフトウェアごとのディレクトリがあって…

「poky」ディレクトリの下層 - 1


その中に、それぞれの「.bb」ファイルが存在するのを確認できますね。

「poky」ディレクトリの下層 - 2


興味のある方は、レシピがどういう風に書かれているか、見てみるのも良いかもしれません。

(但し、訳が分かんなくてもヘコタレナイこと!)


「bitbake」コマンドとは?

さて、カレーライスの場合は、私たち自身がレシピを読みながら料理をしなければなりません。

では、Linuxディストリビューションの場合は?

それを行うのが、ビストロ「Yocto Project」の料理長「bitbake」コマンドさんだったのです。

前回、以下のようなコマンドを打ちましたよね?

終わるまでに5時間くらい掛かった例のヤツ。


$ bitbake core-image-minimal


これは、料理長「bitbake」さんに「core-image-minimal」というお料理を注文したことになります。

「bitbake」さん、料理長なのにお客さんの注文取ったり、色々大変なので「グズグズすんな」とか「トロトロしてんじゃねー」とか「ぁくしろよ!」とか言っちゃダメ。

でもって「core-image-minimal」の注文を受けた「bitbake」料理長、厨房に戻ると「core-image-minimal」に必要な食材を買い出しに行きます。

…え、今からかいっ!?

まあ、そういったツッコミは、例え話なんでご勘弁を。

たくさんのレシピに書かれている部材をすべて買い揃えた「bitbake」料理長、厨房に戻って、これまたレシピ通りに各食材を調理していきます。

こうして「bitbake」料理長の大車輪の活躍で出来上がったのが「core-image-minimal」というお料理、すなわち、Linuxディストリビューションとなります。


「Yocto Project」におけるレイヤーとは?

コスプレする人のことじゃないです。

「Yocto Project」には、レシピの他、もう一つ重要な概念「レイヤー」というものがあります。

前回ビルドした「core-image-minimal」は、いわばプレーンなカレーライス、学食の300円のカレーみたいなもんで、なんのヒネリもないシンプルなものです。

(今思うと、アレはアレで美味しかったなぁ。)

これをグレードアップして、カツカレーライスにしたいと思います。

しかし、カツカレーライスを作るためには、ベースのプレーンなカレーライスのレシピに加えて、上に乗せるカツのレシピも必要になります。

カツも一から作るとなれば、結構大変です。

お肉は何処で買えば良いのか?

油の量や温度はどうするのか?

...などなど。

カレーライスとは別の料理として、複数のレシピが必要になりそうです。

これを「Yocto Project」風に言えば、カレーライスの上に、カツのレシピが含まれた、カツの「レイヤーを加える」必要があるわけです。

おまけに、このカツカレーライスに福神漬をトッピングしちゃった日にゃ、ダイコンやらレンコンやら、それらの味付けやらで、複数のレシピが含まれた福神漬の「レイヤーを加える」ことになります。

すなわち、レイヤーとは、ある要素を一纏めにしたレシピの集合体と言えます。

前回作った「core-image-minimal」が、プレーンなカレーライス。

今後、この記事で作ろうとする「pcDuino3」向けの「core-image-minimal」が、カツカレーライス。

このように例えるなら「pcDuino3」向けのLinuxディストリビューションは、前回作った「core-image-minimal」に「レイヤーを加える」ことによって作成することになります。

レイヤーは原則として「meta-xxx」というディレクトリ名が付けられます。

このディレクトリの中に、関連するレシピ、すなわち「.bb」ファイルがたくさん配置されています。

(「.bb」ファイル以外のものもありますが、それは今は気にしないで。)

ディレクトリを配置しただけではダメです。

レイヤーの場所を教えてあげないと「bitbake」料理長、その中のレシピが見れなくて困っちゃう。

それをやっているのが以下のパスの「bblayers.conf」ファイルです。


/home/yocto/poky/build/conf/bblayers.conf

「bblayers.conf」のあるディレクトリ


この「bblayers.conf」ファイル、中身はこんな感じのテキストです。

「bblayers.conf」の内容

これを見ると、なにやら「BBLAYERS」という変数に、パスのリストを代入しているように見えます。

この代入により「meta」と「meta-poky」と「meta-yocto-bsp」の3つレイヤーが登録されていることになります。

わずか3つ!

すなわち、前回作った「core-image-minimal」は、非常に少ないレイヤーで構成されていたことが分かります。

そりゃ学食の300円カレーだもの…。


「meta-sunxi」レイヤー

さて「pcDuino3」用のLinuxディストリビューションを作るために必要なレイヤーを手に入れなければなりません。

ところで「pcDuino3」のような名の通ったボードでLinuxを動かすために、白紙の状態から独自のレシピを書いてレイヤーを作ることは、まず無いと思います。

そういったものは、大概はコミュニティの方々が既に開発して、公開している上にメンテナンスまでやってくれています。

本当にありがたいですよね。

お仕事で独自のLinuxボードを作って、それにLinuxを動かす場合でも、使用したCPUのベンダーが必要なレシピやレイヤーを提供していることがほとんどで、最小限のカスタマイズで移植可能です。

では「pcDuino3」に必要なレイヤーがどこにあるか?

結論から言うと、まず以下の「meta-sunxi」レイヤーのページを御覧ください。

このページは「Yocto Project」の元となった、組み込み機器用のLinuxディストリビューションを作るためのソフトウェアフレームワーク「OpenEmbedded」がサポートする、公式の各種レイヤー情報ページです。

そして、このページの「Machines」タブをクリックしてください。


https://layers.openembedded.org/layerindex/branch/master/layer/meta-sunxi/

「OpenEmbedded Layer Index」 - 1


このページを下の方へスクロールしますと…。

「OpenEmbedded Layer Index」 - 2


pcduino3」という表記がありますね。

どうやら、このレイヤーを使えば良いらしいことが分かります。

「OpenEmbedded Layer Index」 - 3


因みに「sunxi」って何?って思いますよね。

これは「pcDuino3」に搭載されている、中国Allwinner Technology社のCPUシリーズの型番に由来します。

「pcDuino3」に搭載されているものは「A20(sun7i)」です。

他にも、このシリーズには「A10 (sun4i)」や「A13 (sun5i)」などが存在します。

つまり「sunxi」の「x」は、型番の番号のアスタリスクになっているわけです。

スンシィー、寸志!?…なんか中国語っぽい意味かと思ったけど違ったみたい。


さて、今回は作業無くウンチクだけで終了。

次回から、実際にこのレイヤーをどのように「Yocto Project」に組み込むか?をやっていきたいと思います。


<続く>

2023年12月8日金曜日

「pcDuino3」でYocto Project その4

前回からの続きです。

このテーマを最初からご覧になる場合はこちらからどうぞ。


「Yocto Project」の構築

前回「VMware Workstation Player」上にインストールした「Ubuntu」を立ち上げましょう。

「Ubuntu」 - 1


ターミナルを起動します。

キーボードの「Ctrl」+「Alt」+「T」を同時に押すと楽です。

「Ubuntu」 - 2


Linuxを扱うと、どうしてもターミナル(コマンドライン)での作業が多くなります。

アレルギーのある方は、今のうちに慣れておきましょう。

さて「Yocto Project」を動作させるには、いくつかのプログラムを予めインストールしておくことが前提となります。

それがまた、エラい数です。

早速、これらをインストールしましょう!

下のコマンドをコピーして「Ubuntu」のターミナルにペーストしてリターンキーを押しましょう。

(頭の「$ 」以降をコピーしてください。)

Winodowsから「VMware Workstation Player」上の「Ubuntu」へコピー・アンド・ペーストできますし、逆もまた可です。


  • $ sudo apt install gawk wget git diffstat unzip texinfo gcc build-essential chrpath socat cpio python3 python3-pip python3-pexpect xz-utils debianutils iputils-ping python3-git python3-jinja2 libegl1-mesa libsdl1.2-dev python3-subunit mesa-common-dev zstd liblz4-tool file locales
ターミナル - 1


ね!エラい数でしょ?

こんなのイチイチ打ってられるかっ!

パスワードの入力が求められます。

yocto」でしたね。

ターミナル - 2

「sudo」は、以降のコマンドを管理者権限で実行させるコマンドで「apt install」というのが、以降に続くプログラムをダウンロード、インストールするコマンドです。

以下の画面では、作業を続行して良いかどうかを問われています。

ここは、リターンキーを押します。

ターミナル - 3


作業中…。

意外と速く進みます。

ターミナル - 4


ダウンロードとインストールが終わると、以下の表示になります。

ターミナル - 5

次に、UTF-8ロケールの設定を行います。

要は文字コードの設定なのですが「Yocto Project」はUTF-8じゃないとトラブるようです。

以下のコマンドを入力してリターンキーを押します。


$ sudo locale-gen en_US.UTF-8

ターミナル - 6


いよいよ「Yocto Project」をダウンロード/インストールします。

以下のコマンドを入力してリターンキーを押します。


$ git clone git://git.yoctoproject.org/poky

ターミナル - 7

地味に時間がかかる感じ?

終了した模様。

ターミナル - 8


以下のコマンドで、現在のホームディレクトリに「poky」というディレクトリが生成されたことが確認できます。

これが「Yocto Project」の実体です。


$ ls -l

ターミナル - 9


では、その中に突入!

ターミナルに「$ cd poky/」と入力してリターンキーを…と、その前に豆知識。

例えば、今回のようにターミナルでディレクトリを打ち込む機会って今後も結構あると思います。

今回の場合「cd po…」まで打ってから「Tab」キーを押してください。

タブ補完機能 - 1


そうすると、勝手に残りの「…ky/」が補完されます。

タブ補完機能 - 2


これは「タブ補完」と呼ばれているもので、現在のディレクトリ直下の存在するディレクトリやファイルの候補を自動的に補完してくれる機能です。

(存在しない場合は、何も起こりません。)

つまり、目的のディレクトリやファイルの頭から2~3文字だけ入力して「Tab」キーを押すことで名前が補完されるので、長いパスをタイピングする必要がなくなります。

これなら、ターミナルでのキー入力の回数が大幅に減って、大変楽になります。

実は私、若かりし頃Linuxを触りだしてから、かなり長いことこの機能を知りませんでした。

そして立派なターミナル・アレルギーになってしまいました。

でも、これを知ってからターミナルが大好き…にはなってませんがね。

まあ、…普通?


さて、話を戻して。

ターミナルに「$ cd poky/」と入力してリターンキーです。


$ cd poky/

ターミナル - 10


ここで思案のしどころ…。

一口に「Yocto Project」と言っても、ソフトウェアなので古いのやら新しいのやら、色々とバージョンがあります。

このページに一覧表があります。

どれを選びましょう?

ソフトウェアというものは、新しいほど良いという訳ではありません。

とはいえ、古すぎては「pcDuino3」に新しいディストーションを!…という、今回の趣旨に反します。

「Yocto Project」は、経験上、サポートが終わったばかりの状態が一番安定している気がします。

(最近は違うのかも?)

というわけで、今回は「Mickledore」というのを選びます。

Yocto Project Releasesページ


Mickledore」=ミクルドア…、イギリスにある山の名前みたいですね。

以下のコマンドを入力してリターンキーを押します。


$ git checkout -t origin/mickledore -b pcduino3

ターミナル - 11

このコマンドは、説明が必要かもしれません。

通常「git clone」コマンドでダウンロードされるソースコードやドキュメント類は、公開されている最新のものとなります。

しかしながら、今回は少し古い「Mickledore」を使用したいのです。

そのためには、ダウンロードされたソースコードやドキュメント類をその「時期」のものに先祖返りさせる必要があります。

この「時期」を指すのがリモートブランチと言って、上記のコマンドでは「origin/mickledore」の部分にあたります。

そして「origin/mickledore」のスナップショットをダウンロードしたソースコードやドキュメント類に反映させます。

これを「checkout」と呼びます。

リモートブランチ「origin/mickledore」は、管理者によって今後も変更されるかもしれません。

一方「checkout」したスナップショットは、今後、私達が変更するかもしれません。

この時点で「origin/mickledore」は分岐したことになります。

文字通りブランチ「枝」別れという訳です。

本家の「origin/mickledore」は、リモートブランチとして今後も「Yocto Project」のGitサーバで管理されます。

スナップショットは「pcduino3」という新たな名前のローカルブランチとして私達の開発用PCの中で管理していきます。


…とまあ、分かりにくい説明で申し訳ありません。

要は、ダウンロードした最新の「Yocto Project」を少し古いバージョンに戻したよ!ってコトで。

次に「Yocto Project」の動作に必要な環境変数の設定と「build」ディレクトリを作成します。

以下のコマンドを入力してリターンキーを押します。

環境変数が設定され、さらに「build」ディレクトリが作成されて、そこに移動した様子が分かります。


$ source oe-init-build-env

ターミナル - 12

「Ubuntu」のエクスプローラーで見ても「poky」ディレクトリ以下に「build」ディレクトリが出来ていますね。

「build」ディレクトリ

さてさて、早速「Yocto Project」の試運転と行きましょうか。

そこで、ちょっと相談があるんですが…。

今、このページを読んでくれて、実際に試そうと思っている方!


今何時ですか?


…というのも、次のコマンドは終了までにとても長い時間がかかります。

試運転ですから、最小限の軽いLinuxディストリビューションを作ろうと思っています。

まずは、いきなり「pcDuino3」用ではなく、デフォルト設定の「x86-64」アーキテクチャ用、すなわち普通のPC向けのディストリビューションです。

それでも、開発用PCのスペックと、ネットの環境によっては5時間以上は覚悟です。

「Yocto Project」のビルドツールである「bitbake」は、相当に処理が重いため、その間はPCをほぼ専有されてしまいます。

ですので、次のコマンドは就寝前に実行することをオススメします。

朝起きれば、きっとディストリビューションのビルドが成功しているはずですよ。

普段の行いが良ければ。

…というわけで、布団の入る前に、以下のコマンドを入力してリターンキーを押します。


$ bitbake core-image-minimal

ターミナル - 13

なにやら、始まりましたよ~。

これは、ディストリビューションに含まれる様々なソフトウェアのソースコードをダウンロードしてはビルドする...ということを延々と繰り返しているようです。

ターミナル - 14

そして、就寝!!


起床!!


眠い目を擦りながらも、すかさず開発用PCの画面を確認。

よし!どうやらディストリビューションのビルドに成功したみたいです。

エラーが出た時って、真っ赤なエラーメッセージがビッシリ出力されるので一目で分かります。

ターミナル - 15


ビルドの成果物は、以下のパスに生成されています。

階層、深すぎですね…。


/home/yocto/poky/build/tmp/deploy/images/qemux86-64

ビルドの生成物のディレクトリ

タイムスタンプを見てみると、ディストリビューションのイメージファイルの生成時間が「4:50」くらい。

「bitbake」コマンドを打ったのが昨晩「0:00」くらいだったので、やっぱり5時間コースですね。

仕事でLinuxを扱っていた頃、今回のように会社で帰宅時に「bitbake」コマンドを打って、夜通しビルドを行うことがよくありました。

それで、翌朝出社して画面を見ると、大量のエラーが出てビルド失敗。

その日の出鼻を挫かれた感じで、一日中スッキリしない気分…なんてことは、組み込みLinuxエンジニアあるあるです。

エラーの原因は、色々あります。

単純にパラメータの入力ミスとかなら分かるのですが、ネットワークの切断だったり「Ubuntu」のフリーズだったり、はたまたソースコードのダウンロード元のサーバが落ちていたりなどなど、納得いかない理由であることもしばしば…。

どうやら、今回構築した「Yocto Project」は、正常に動作してくれたようです。


さて、今回はここまで。

今回は試運転だったので「pcDuino3」では動かないディストリビューションを作りました。

次回以降は、これを「pcDuino3」で動くようにする作業をやっていきましょう。


<続く>

2023年11月21日火曜日

「pcDuino3」でYocto Project その3

前回からの続きです。

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Ubuntuのダウンロード

前回インストールした「VMware Workstation Player」で仮想のパソコンを作成し、そこにLinuxをインストールしようと思います。

一口にLinuxと言っても、それこそ星の数ほど多くのディストリビューションがあります。

しかし「Yocto Project」の公式リファレンスマニュアルのページ「1 System Requirements」によると、サポートされているディストリビューションは、以下の通りです。


●Fedora

●openSUSE

●CentOS

●Debian

●Ubuntu


そのうちのどれを選択するか?

今回は、現在最もシェアが高い「Ubuntu」というディストリビューションを選びます。

シェアが高いディストリビューションということは、インターネット上の情報が最も豊富ということです。

このことは、必然的に「Ubuntu」で「Yocto Project」を使用している人が多く、トラブルに遭った場合に解決するための情報も得やすいことを意味します。

これは大きなメリットです!

早速、この「Ubuntu」を手に入れましょう!

以下のページにアクセスしてください。


https://jp.ubuntu.com/


ページ上部の「ダウンロード」の表示をクリックしてください。

「Ubuntu」ダウンロードページ - 1


ページが切り替わったら、少し下の方にスクロールしてもらって…

「Ubuntu」ダウンロードページ - 2


以下の通り「ダウンロード」の表示をクリックします。

「Ubuntu」ダウンロードページ - 3


ダウンロードが開始されるはずです。

「Ubuntu」ダウンロードページ - 4


ダウンロードが完了したら、早速そのファイルを見てみましょう。

ubuntu-xx.xx.x-desktop-amd64.iso」みたいなファイル名だと思います。

拡張子が必ず「.iso」であることを確認してください。

これで「Ubuntu」のインストールディスク・イメージのダウンロードは完了です。


「VMware Workstation Player」の仮想マシンの作成

さて「VMware Workstation Player」を起動させましょう。

以下の画面から「新規仮想マシンの作成」の表示をクリックしてください。

「VMware Workstation Player」 - 1


以下のダイアログが現れたら「インストール元:」のラジオボタンを「インストーラ ディスク イメージ ファイル」に設定します。

更に右側の「参照」ボタンをクリックして、先程ダウンロードした「ubuntu-xx.xx.x-desktop-amd64.iso」という名前のインストールディスク・イメージを指定します。

インストールディスク・イメージが認識されると、パスを表示しているテキストボックスの下に「Ubuntu 64 ビット xx.xx.xが検出されました…」という表示が出てきます。

それを確認してから、ダイアログ下方の「次へ」ボタンをクリックです。

「VMware Workstation Player」 - 2


続いて、以下のような表示が出てきます。

ここは面倒なんで4箇所全部「yocto」にしました。

もっと丁寧に設定したい方は、任意でどうぞ。

「VMware Workstation Player」 - 3


次の表示も、丁寧な方は任意で設定してください。

デフォルトでも構わない方は、そのまま「次へ」ボタンをクリックです。

「VMware Workstation Player」 - 4


次はちょっと悩みどころ…。

今作ろうとしている可能マシンに振り分ける仮想ハードディスクのサイズの設定です。

ハードディスクの容量は、一般的に「Yocto Project」を使うとなると100GB以上が必要と言われています。

これは、今この「VMware Workstation Player」を動かしているパソコンのハードディスクから割り当てることになるため、どれだけのサイズを設定するかは、パソコンの残りの空き容量次第となります。

サイズは大きい方が後々面倒がなくて良いので、ここでは余裕を持って「256GB」と設定します。

(パソコンのハードディスクの空き容量がそんなに無い方は「128GB」でも行けるかな?)

設定が終わったら「次へ」ボタンをクリック。

「VMware Workstation Player」 - 5


次の表示では「ハードウェアをカスタマイズ」ボタンをクリックしてください。

「VMware Workstation Player」 - 6


ここが最後の思案のしどころ…。

仮想ハードディスクの割当に続いて、今作ろうとしている可能マシンに振り分けるメモリのサイズの設定です。

「VMware Workstation Player」は、ホストマシンの上で仮想マシンを動かします。

すなわち、Windowsが動いている上で同時にLinuxを動かすことになります。

この時、Windowsのためのメモリを増やしてLinuxのためのメモリを減らすと、Windowsのアプリケーションの動作が速くなり、Linuxのアプリケーションの動作が遅くなります。

逆もまた然り。

しかし「Yocto Project」は、非常に重いフレームワークです。

ソースコードのダウンロードやコンパイル、多くのファイルのコピーを何百回何千回と繰り返します。

一つのディストリビューションを作るのに、大変な時間がかかります。

そのため、Linuxを動作させる仮想マシンのメモリは、やはり多いほど処理速度が向上し、作業時間は短縮されます。

そこで、以下のように「推奨最大メモリ」の印で示される容量を設定しました。

(下の画像の例では「13.4GB」ですね。)

ちなみに、メモリと同様に、プロセッサ・コア数もこの画面で設定可能です。

こちらもメモリの場合と同様の理屈で多いほど有利ですが、お使いのCPUの半分ほどを振り分ければ良いと思います。

上記は、パソコンのCPUが4コア持っているので、そのうちの半分の2コアを仮想マシンに割り当てた例です。

この画面で可能な設定は非常に悩みますが、後から設定変更も可能ですので、それほど気を揉まないでくださいね。

設定が終わったら「次へ」ボタンをクリックしましょう。

「VMware Workstation Player」 - 7


以下の表示に切り替わったら「完了」ボタンをクリックして、仮想マシン、いよいよ起動です!

「VMware Workstation Player」 - 8


仮想マシンへのUbuntuのインストール

仮想マシンが起動する冒頭、以下の表示が出てきますが、これは「OK」ボタンをクリックしてください。

大したことじゃないです。

Ubuntuのインストール - 1


しばらくすると、仮想マシン上で「Ubuntu」のインストールディスク・イメージが実行されます。

Linux起動中…。

Ubuntuのインストール - 2


クリスタルなクラゲ!?

なかなかにアーティスティックな壁紙!

Ubuntuのインストール - 3


さて、いよいよ「Ubuntu」のインストーラが開始されます。

まずはキーボードの設定です。

お使いの環境に合わせて設定し「Continue」ボタンをクリックします。

Ubuntuのインストール - 4


この後は、しばらく「Continue」ボタンを連打で良いです。

Ubuntuのインストール - 5


Ubuntuのインストール - 6


Ubuntuのインストール - 7


Ubuntuのインストール - 8


以下の画面になったら、手入力が必要です。

ここも横着して全部「yocto」と入力しました。

この「Ubuntu」は「Yocto Project」のための一時的な環境で、なにもサーバーを構築するわけでもないのだから、あまり神経質にならなくて良いと思いますよ。

入力が終わったら「Continue」ボタンをクリック。

Ubuntuのインストール - 9


ふぅ…ようやくインストールが始まりました。

インストールが終了するまで、ある程度の時間がかかります。

Ubuntuのインストール - 10


インストールが完了すると、ひっそりと味気なく…以下のポップアップが表示されます。

「再起動していいですか?」…

「良いですよ!」ってなわけで「Restart Now」ボタンをクリックしてください。

Ubuntuのインストール - 11


仮想マシンが再起動すると、以下のようにログイン画面が表示されます。

「yocto」というユーザー名が表示されていますね?

こちらをクリックします。

Ubuntuのインストール - 12


パスワード入力のためのテキストボックスが現れますので、パスワードを入力しましょう。

今回の場合、私が横着したのでここも「yocto」と…。

Ubuntuのインストール - 13


すると、以下の通り「Ubuntu」のデスクトップが表示されます。

クリスタル・クラゲに再会!

本当に最近のLinuxは、WinodwsやMacOSに劣らないくらいデスクトップの完成度が高くなっていますね。

これで仮想マシンへの「Ubuntu」のインストールは無事終了です。

Ubuntuのインストール - 14


さて、起動させたものは、いつかは終了させなきゃいけない…というわけで「Ubuntu」の終了の仕方を確認しておきましょう。

Linuxの正しい礼儀作法として、これはターミナル(コマンドプロンプト)で行います。

現在のデスクトップからターミナルを開くには、GUIのメニューから選択しても良いのですが、もっと楽な方法があります。

キーボードの「Ctrl」+「Alt」+「T」を同時に押してください。

以下のようにターミナルが開けましたか?

Ubuntuのインストール - 15


「Ubuntu」を正しく終了させるには、開いたターミナルで以下のコマンドを入力します。


$ sudo shutdown -h now


このコマンドは、管理者権限で(sudo)、シャットダウンせよ(shoutdown)、電源断(Halt)で(-h)、今すぐに!(now)…という意味です。

すると、以下のようにパスワードの入力を求められます。

これは、コマンドの頭に「sudo」を付けたからです。

サーバーなどの用途に用いられるLinuxでは、シャットダウンは特別な操作です。

ログインしている誰でも彼でもシャットダウンできてしまっては困ります。

なので、大抵の場合「shutdown」コマンドは管理者権限で実行されなければなりません。

したがって、そのためのパスワードが必要というわけになります。

では、パスワード(今回の場合「yocto」ですね)を入力して、リターンキーを押します。

Ubuntuのインストール - 16


しばらくすると「Ubuntu」はシャットダウンされて、仮想マシンの画面も消え去ります。

これで「Ubuntu」が正しく終了できました。

再び「Ubuntu」を起動したいときは「VMware Workstation Player」の画面で、左のリストから「Ubuntu 64 ビット」を選択状態にして「仮想マシンの再生」をクリックします。

Ubuntuのインストール - 17


すると、再び仮想マシンが起動し「Ubuntu」が立ち上がって、ログイン画面が表示されます。

これで「Ubuntu」の起動と終了は万全ですね!


以上で「Yocto Project」を動作させる土台は整いました。

次回から、このフレームワークの構築に移りましょう。

…ここまででも、けっこう手間がかかりましたよね。


<続く>

zlib License

OSSライセンスのメインページは こちら からどうぞ。 ライセンスの目次は こちら です。 名称:「zlibライセンス」 タイプ: ・コピーレフト…× ・ライセンス文の掲示…〇 (ソースコード頒布のみ) ・コピーライト(著作権)の掲示…〇 (ソースコード頒布のみ) ・その他… 〇...