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2023年2月6日月曜日

TOPPERS/ASP - ML62Q1000版 その2

前回からの続きです。


開発環境の構築

早速、開発環境を構築していきます。

ML62Q1000マイコンスタータキット「SK-BS01-D62Q1577TB」に同梱されているDVD-ROMをパソコンに挿入しましょう。

DVD-ROMは、以下のようなトップディレクトリになっていると思います。

以下の「ML62Q1000_MCU_StarterKit」というディレクトリをダブルクリックします。

同梱されているDVD-ROMのトップディレクトリ


次に「U8DevTool_R2_2_0.zip」という圧縮ファイルをパソコンの何処へでも良いのでコピーします。

※ファイル名は開発環境のバージョンによって異なる可能性があります。

同梱されているDVD-ROMの「ML62Q1000_MCU_StarterKit」ディレクトリ


コピーした「U8DevTool_R2_2_0.zip」を解凍すると、以下のようなディレクトリが展開されます。

この中の「Setup」ディレクトリをダブルクリックします。

解凍された「U8DevTool_R2_2_0.zip」のディレクトリ


移動したディレクトリの中の「U8DevInstaller.exe」ファイルをダブルクリックします。

コイツがML62Q1000マイコン開発環境のインストーラーです。

ML62Q1000マイコン開発環境のインストーラー


しばらくすると以下のようにインストーラーが開始されます。

ここは「次へ」ボタンをクリックしましょう。

インストーラー - 1


お約束の使用許諾への同意の作業。

使用許諾契約の条項に同意します」のラジオボタンを選択してから「次へ」ボタンをクリックです。

インストーラー - 2


開発環境のインストール先の設定です。

特に理由がなければ、このままで行きましょう!

次へ」ボタンをクリック。

インストーラー - 3


セットアップの種類を聞かれます。

特に理由がなければ「標準」という表示をクリックしてください。

インストーラー - 4


インストール作業が始まりました!

思いの外時間がかかりますが、気長に待ちましょう。

インストーラー - 5


インストール作業中に以下のようなポップアップが表示されます。

2回位だったかな…?

おそらく、デバッガーか何かのデバイスドライバのインストールを許可してくれ~!って言ってます。

いずれも「インストール」ボタンをクリックです。

「Windowsセキュリティ」ポップアップ


インストーラーが以下の表示になったら、ML62Q1000マイコン開発環境のインストールは終了です。

完了」ボタンをクリックしてインストーラーを終了させましょう。

インストーラー - 6


さて、インストールしたML62Q1000マイコン開発環境の環境変数の設定を行います。

開発環境は、インストーラーにより以下のディレクトリにセットアップされているはずです。


C:\U8Dev

「U8Dev」ディレクトリ


環境変数の設定方法は、このページ(TOPPERS/ASPのビルドからデバッグまで~GNUツールチェーンの導入)の「環境変数の設定」の項目を御覧ください。

ただし、パスは…


C:\Program Files (x86)\GNU Tools ARM Embedded\7 2017-q4-major\bin


…となっていて、1つだけ設定していますが、今回はそれに代えて以下の2つを設定するようにします。

※特に2つ目のパスは開発環境のバージョンによって異なる可能性があります。


C:\U8Dev\Bin

C:\U8Dev\BuildTools\V2_02_00\Bin


こんな感じ…。

「環境変数名の編集」ダイアログ


また、このページの「パスの確認」の項目で打ち込むコマンドも、以下のように変わります。


> ccu8

コマンドプロンプト


続きまして「Cygwin」のインストールを行います。

このページ(TOPPERS/ASPのビルドからデバッグまで~Cygwinの導入)を参考にしてください。


次に、ソースコードをゲットしちゃいましょう。

ソースコードのダウンロードはこちらからどうぞ。

TOPPERS/ASP ML62Q1000版」というのを選んでください。

また、「Github」を使いたい方は以下のコマンドでソースコードのクローンを行います。


$ git clone https://github.com/RyutaroMorita/asp_ml62q1000_u8dev.git

Cygwinターミナル


ダウンロードとGithub、いずれの場合も「asp_ml62q1000_u8dev」というディレクトリの名前を「asp_1.9.2」などと改名すると、上記のページと同じ状況になります。


さて、開発環境をインストールして、ソースコードもダウンロードしました。

早速ビルドを~!って思う気持ちはわかりますが、やめておきましょう。

どうせ、必ずビルドは失敗します。

なぜならば、ソースコードに色々加えなければならないからです。

その手順も追って説明いたしますので、ここはグッと我慢。


さて、以上で開発環境のセットアップは終了です。

次回は、現状のソースコードに足らないものを色々コピーしたり、修正したりする作業を行っていきます。

複雑で面倒な作業ですが、手順通りにやっていただければ大丈夫です!


<続く>

2023年1月27日金曜日

TOPPERS/ASP - ML62Q1000版 その1

TOPPERS/ASP - ML62Q1000版 概要

以前、このページで書かせてもらいました。

ラピステクノロジー社のマイコン「ML62Q1000」です。

「ML62Q1000」マイコン


結局仕事では使えなかったので、ここでの公開となりました。

オリジナル「nX-U16/100」コアの16bit RISCマイコンです。

かつてはローム株式会社が開発・販売しており、同じロームグループのラピステクノロジー社に移管されました。

このマイコンの一番の特徴は耐ノイズ性にあり、そのスジでは結構有名です。

次いで、低消費電力

イメージ的には低消費電力を謳っているマイコンほど耐ノイズ性が劣る気がしますが、この「ML62Q1000」、これらを両立しているところにインパクトのある製品だと思います。

この特徴から家電などの民生分野に向いており、これからの時代に益々需要が増えるであろう、環境への耐性が求められるセンサーなどのIoTデバイスにも最適です。

ただ、いかんせんマイナーなアーキテクチャであることは否めなく、技術情報もネット上ではほとんど見かけません。

また、目ぼしいRTOSなども見つからなかったので、この「ML62Q1000」に「μITRON4.0」準拠のRTOS(リアルタイムOS)であるTOPPERS/ASPを移植してみました。


必要なもの

今回のターゲットとなる、ML62Q1000マイコンスタータキット「SK-BS01-D62Q1577TB」です。

ありがたいことにデバッガー「EASE1000 V2」も付いており、通販で買うことができます。

こちらであれば、最安値で26,000円くらいです。

趣味で買うにはキツイお値段ですね…。

私の場合は、たとえ仕事で使う可能性があっても確定的でない限り、こういうのを会社が絶対買ってくれないので自腹を切りましたが、あまり良いことではありませんね!

(それをやると、会社はソフトウェアの開発には金が要らないと錯覚して、益々ケチになる…。)

ML62Q1000マイコン スタータキット「SK-BS01-D62Q1577TB」


他の型番への移植も可能ですが、TOPPERS/ASPを搭載して動作させるならROM:128KB/RAM:8KB以上の容量を持つ型番を選びましょう。

そうなると実質的に「ML62Q1000」シリーズでも、ML62Q15xx、ML62Q16xx、ML62Q17xxなどのハイエンドの型番がターゲットになります。

このブログでは「SK-BS01-D62Q1577TB」を使用した場合の例を説明していきたいと思います。


ダウンロード/GitHub

ソースコードの入手は、こちらからどうぞ。

とは言っても、このソースコードをダウンロード、もしくは「git clone」しても、絶対にビルドが通りません。

このソースコードは未完成です。

なぜなら、ラピステクノロジー社のドライバを後から付け加える必要があるんです。

ラピステクノロジー社のドライバのライセンスの条項によれば、ソースコードの一切の再配布を認めていません。

そのため公開できるのは、それに抵触しない完全なオリジナル部分のみです。

そして、ラピステクノロジー社のドライバを触ることができるのは、上記のスタータキットを購入した方のみです。

ですので、今後この記事では、それらのソースコードの在り処やコピーする場所などを事細かに書いていくつもりです。

やや面倒ですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

ビルドは、まだやらないでくださいね~。

(あと、動かしながら記事書いてる過程でバグなんかが見つかるかもしれないので、ダウンロードは後の方が良いかも…。)


ベンダーの提供するドライバなどのソフトウェアにあまり厳しいライセンスを課すと、ユーザーが気軽に試せないし、コミュニティが育たないので製品のシェアが伸びない気もするのですが…。

ただ、これらを公開してしまうとベンダー側のサポートの手間は確実に増えるので、それを懸念してライセンスを厳しくしているベンダーは少なからず存在します。

前回の「TOPPERS/ASP AVR32版」で取り上げた、Microchip社なんかもそうでしたね。

次回以降、開発環境の構築から始めましょう!


<続く>

MLAA License

 名称:「MLAAライセンス」(MLAA) タイプ: ・コピーレフト…× ・ライセンス文の掲示…〇(ソースコード頒布のみ) ・コピーライト(著作権)…〇(ソースコード頒布のみ) ・その他…〇(バイナリ頒布のみ) 原文: Copyright: 2010 Jorge Jimenez ...