TOPPERS/ASP - ML62Q1000版 概要
以前、このページで書かせてもらいました。
ラピステクノロジー社のマイコン「ML62Q1000」です。
結局仕事では使えなかったので、ここでの公開となりました。
オリジナル「nX-U16/100」コアの16bit RISCマイコンです。
かつてはローム株式会社が開発・販売しており、同じロームグループのラピステクノロジー社に移管されました。
このマイコンの一番の特徴は耐ノイズ性にあり、そのスジでは結構有名です。
次いで、低消費電力。
イメージ的には低消費電力を謳っているマイコンほど耐ノイズ性が劣る気がしますが、この「ML62Q1000」、これらを両立しているところにインパクトのある製品だと思います。
この特徴から家電などの民生分野に向いており、これからの時代に益々需要が増えるであろう、環境への耐性が求められるセンサーなどのIoTデバイスにも最適です。
ただ、いかんせんマイナーなアーキテクチャであることは否めなく、技術情報もネット上ではほとんど見かけません。
また、目ぼしいRTOSなども見つからなかったので、この「ML62Q1000」に「μITRON4.0」準拠のRTOS(リアルタイムOS)であるTOPPERS/ASPを移植してみました。
必要なもの
今回のターゲットとなる、ML62Q1000マイコンスタータキット「SK-BS01-D62Q1577TB」です。
ありがたいことにデバッガー「EASE1000 V2」も付いており、通販で買うことができます。
こちらであれば、最安値で26,000円くらいです。
趣味で買うにはキツイお値段ですね…。
私の場合は、たとえ仕事で使う可能性があっても確定的でない限り、こういうのを会社が絶対買ってくれないので自腹を切りましたが、あまり良いことではありませんね!
(それをやると、会社はソフトウェアの開発には金が要らないと錯覚して、益々ケチになる…。)
他の型番への移植も可能ですが、TOPPERS/ASPを搭載して動作させるならROM:128KB/RAM:8KB以上の容量を持つ型番を選びましょう。
そうなると実質的に「ML62Q1000」シリーズでも、ML62Q15xx、ML62Q16xx、ML62Q17xxなどのハイエンドの型番がターゲットになります。
このブログでは「SK-BS01-D62Q1577TB」を使用した場合の例を説明していきたいと思います。
ダウンロード/GitHub
ソースコードの入手は、こちらからどうぞ。
とは言っても、このソースコードをダウンロード、もしくは「git clone」しても、絶対にビルドが通りません。
このソースコードは未完成です。
なぜなら、ラピステクノロジー社のドライバを後から付け加える必要があるんです。
ラピステクノロジー社のドライバのライセンスの条項によれば、ソースコードの一切の再配布を認めていません。
そのため公開できるのは、それに抵触しない完全なオリジナル部分のみです。
そして、ラピステクノロジー社のドライバを触ることができるのは、上記のスタータキットを購入した方のみです。
ですので、今後この記事では、それらのソースコードの在り処やコピーする場所などを事細かに書いていくつもりです。
やや面倒ですが、お付き合いいただけると嬉しいです。
ビルドは、まだやらないでくださいね~。
(あと、動かしながら記事書いてる過程でバグなんかが見つかるかもしれないので、ダウンロードは後の方が良いかも…。)
ベンダーの提供するドライバなどのソフトウェアにあまり厳しいライセンスを課すと、ユーザーが気軽に試せないし、コミュニティが育たないので製品のシェアが伸びない気もするのですが…。
ただ、これらを公開してしまうとベンダー側のサポートの手間は確実に増えるので、それを懸念してライセンスを厳しくしているベンダーは少なからず存在します。
前回の「TOPPERS/ASP AVR32版」で取り上げた、Microchip社なんかもそうでしたね。
次回以降、開発環境の構築から始めましょう!
0 件のコメント:
コメントを投稿