前回からの続きです。
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開発環境の構築(Cygwin編)
続きまして「Cygwin」のインストールを行います。
今回は開発環境にナウい「Visual Studio Code」を使うと言いましたが、TOPPERS/ASPを使用するにあたってはどうしてもこの「Cygwin」が必要になります。
「Cygwin」の中の「make」や「perl」といったツールを使いたいからです。
実作業は、このページ(TOPPERS/ASPのビルドからデバッグまで~Cygwinの導入)を参考にしてください。
「Cygwin」がインストールできたら、ここまでの作業が上手くいっているかどうか確認しておきましょう。
次のページ(TOPPERS/ASPのビルドからデバッグまで~サンプルプロジェクトのビルド)を参照してください。
ただし、今回使用するソースコードはこのページの冒頭の「NUCLEO-F401RE STM32 Nucleo-64」開発ボード用のTOPPERS/ASPカーネル簡易パッケージではなく、「Explorer 16/32 Deveopment Kit」用のものを使います。
ソースコードのダウンロードはこちらからどうぞ。
また、「Github」を使いたい方は以下のコマンドでソースコードのクローンを行います。
$ git clone https://github.com/RyutaroMorita/asp_pic24f_gcc.git
ダウンロードとGithub、いずれの場合も「asp_pic24f_gcc」というディレクトリの名前を「asp_1.9.2」などと改名すると、上記のページと同じ状況になります。
また、今回は「OBJ」ディレクトリを作成する必要はありません。
これは既に用意されていますので、そのまま「OBJ」ディレクトリに移動し「make~」コマンドを実行してください。
開発環境の構築(Visual Studio Code編)
お次は「Visual Studio Code」のインストールを行います。
すでに統合開発環境(IDE)として、前回「MPLAB X IDE」をインストールしました。
もちろん、これを使って開発を進めても問題ありません。
しかしながら、実際にコードを書いてみると判りますが「Visual Studio Code」は軽量で非常に優秀なエディターです。
強力な検索機能や、ハイライト表示、コード補完機能(構造体変数に「.」と打つと候補のリストビューが出てきたりするヤツね!)など、生産性は大きく向上すると思います。
こういったものは個人の好み(ていうか信仰)がありますので、お好みのエディターをご使用ください。
とりま、この記事ではエディターとして「Visual Studio Code」、デバッガモニタとして「MPLAB X IDE」を使用するものとして説明します。
さて、その「Visual Studio Code」のインストール方法ですが、このページ(μiTRONプログラマーがZephyrに挑戦! その3)を参考にしてください。
今回のPIC24マイコンとは全く違う記事ですが、インストーラーのダウンロードから日本語設定まで説明してます。
Visual Studio Codeの使い方
さて、インストールして日本語化まで行った「Visual Studio Code」、開いている方は、一旦閉じちゃってください。
そして、ダウンロードして一度ビルドまで通した「Explorer 16/32 Development Kit」用のTOPPERS/ASPのソースディレクトリを見てみましょう。
名前は「asp_pic24f_gcc」(改名した場合は「asp_1.9.2」ですね)というディレクトリでしたね。
記事通りであれば以下のパスです。
C:\cygwin64\home\<ユーザー名>\asp_pic24f_gcc
エクスプローラをちょっとだけ下にスクロールしてやりますと「asp_pic24f_gcc.code-workspace」というファイルがあると思います。
こいつをダブルクリックしてください。
以下のように「Visual Studio Code」が起動し「Explorer 16/32 Deveopment Kit」用のTOPPERS/ASPワークスペースが開かれます。
この過程で以下のようなポップアップが出るかもしれません。
その場合は「はい、作成者を信頼します」をクリックしてください。
信頼して!
次に、このソースツリーに対し、ビルドやクリーンなど色々と操作するためのターミナルを表示させましょう。
それには「Visual Studio Code」上方に配置されている「表示」メニューから「ターミナル」をクリックします。
すると「Visual Studio Code」下方にターミナルが表示されました。
このターミナルは、すでにインストールした「Cygwinターミナル」そのものです。
ここでは「Cygwinターミナル」と全く同じ操作を行うことができます。
例えば、ソースツリーの「asp_pic24f_gcc」(改名した場合は「asp_1.9.2」)ディレクトリの中の「OBJ」へ移動するために、以下のコマンドを入力します。
ルートは「C:\cygwin64\home\<ユーザー名>」です。
$ cd ./asp_pic24f_gcc/OBJ
サンプルプロジェクト「OBJ」は「Cygwinターミナル」で先程、確認のためにビルドしていますよね?
それを一旦キレイにクリアしましょう。
以下のコマンドを入力します。
$ make realclean
実行結果は以下の通り。
「OBJ」ディレクトリの中にあった「~.d」とか「~.o」などのビルド生成物がクリアされ、ソースコードのみが残った状態になります。
これで作業中に「Visual Studio Code」と「Cygwinターミナル」の二窓をしなくて良くなります。
※「二窓」とは、Windowsで複数のアプリを同時に起動させるという意味のオジサン言葉である。昔は複数のアプリ(特にブラウザ)を立ち上げるとWindowsが頻繁にフリーズしたため、オジサンたちにとってはリスキーな行為であるというトラウマが根強く残る。
ソースコードの編集は、一般的な統合開発環境(IDE)と同様に、リストビューからファイルを選び、メインビューでソースコードを表示して、それを編集するスタイルとなります。
例えば、今回のビルド対象であるサンプルプロジェクト「OBJ」のメインファイルを編集したい場合は「Visual Studio Code」左側のエクスプローラーから「OBJ」ディレクトリ以下の「sample1.c」をダブルクリックします。
中央のメインビューにソースコードが表示されたでしょうか?
編集が終わったらソースコードを保存して「Visual Studio Code」下方のターミナルで以下のコマンドでビルドを行います。
$ make depend
$ make
全く「Cygwinターミナル」と一緒ですね!
以上で、開発環境の構築は終わりました。
次回からは、このPIC24版TOPPERS/ASPのサンプルプロジェクトを実際に実機(Explorer 16/32 Development Kit)で動かしていく準備をしていきましょう。
本業が地獄みたいな状態で、3ヶ月以上もブログの更新を止めてしまいました。
年末のご挨拶をしたいので何とか年内に更新を!と…。
皆様、どうか良いお年を!
来年も皆様にとって素晴らしい年になりますように!
<続く>
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