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2022年12月1日木曜日

TOPPERS/ASP - RL78版 その2

前回からの続きです。


開発環境の構築(コンパイラ編)

コレがなくちゃ始まらない!

まずはRL78用のコンパイラのインストールを行いましょう。

以下のページでダウンロードします。


https://llvm-gcc-renesas.com/ja/rl78/rl78-download-toolchains/

上の方には「LLVM」というコンパイラが並んでいますね。

今回使用するのは「GCC」ですので下にスクロールします。

コンパイラダウンロードサイト


GCC」ありましたね?

早速ダウンロードしましょう!

GCCコンパイラのダウンロード


すると、以下のようにログインを要求されます。

すでに「Open Source Tools for Renesas」のアカウントをお持ちの方は、入力してログインしてください…って、ほとんどの方は持っていないですよね?

その場合は面倒ですけど「登録」をクリックしてアカウントを作成後にログインしてください。

アカウントを作成したからと言って、広告メールがバンバン来るようになるとか、そんなことはありません。

まあ、年に数回更新の情報がメールで来るくらいです。

ログイン要求ページ


どうにかこうにかログインに成功したら、以下の画面に戻り、もう一度ダウンロードを試みましょう。

今度はダウンロードできるはずです。

再度GCCコンパイラのダウンロード


ダウンロードが完了すると「gcc-x.x.x.20xxxx-GNURL78-ELF.exe」というファイルが生成されますので、これをダブルクリック!

程なくして、以下の表示が出ます。

「推奨」とありますので「すべてのユーザー用にインストール」をクリックしましょう。

「インストールモードの選択」ポップアップ


インストーラーが起動します。

ここは「次へ」ボタンをクリックします。

インストーラー - 1


同意せざるを得ない!

同意する」を選択して「次へ」ボタンをクリックします。

インストーラー - 2


しばらくは「次へ」ボタンを連打です。

インストーラー - 3


インストーラー - 4


インストーラー - 5


インストーラー - 6


これで最後か?

インストール」ボタンをクリックしましょう。

インストーラー - 7


やっとこさインストールが始まります。

インストーラー - 8


インストールが終了すると以下の画面になります。

これも「次へ」をクリック!

インストーラー - 9


インストールはこれで完了!

完了」ボタンをクリックしてください。

インストーラー - 10


インストールしたツールチェーンの環境変数の確認を行います。

ツールチェーンは、先程のインストール作業により既に以下のディレクトリにセットアップされているはずです。

「ProgramData」以下だなんて、ちょっと変わった所にインストールされますね…。

ツールチェインのディレクトリ


環境変数の確認方法は、このページ(TOPPERS/ASPのビルドからデバッグまで~GNUツールチェーンの導入)の「環境変数の設定」の項目を御覧ください。

多分、最近のバージョンならインストール時に自動的に設定されていると思います。

確認して、もしパスが設定されていないようならば、上記を参考に改めて設定してあげてください。

ただし、パスは…


C:\Program Files (x86)\GNU Tools ARM Embedded\7 2017-q4-major\bin


…となっているところを…


C:\ProgramData\GCC for Renesas RL78 4.9.2.202201-GNURL78-ELF\rl78-elf\rl78-elf\bin


に置き換えてください。

インストーラーが自動的に設定するバージョンでは、一番上に入れられちゃうんですね。

特に問題はないけど…不躾な!

こんな感じ…。

「環境変数名の編集」ダイアログ


また、このページの「パスの確認」の項目で打ち込むコマンドも、以下のように変わります。


> rl78-elf-gcc --version

コマンドプロンプト


続きまして「Cygwin」のインストールを行います。

このページ(TOPPERS/ASPのビルドからデバッグまで~Cygwinの導入)を参考にしてください。


「Cygwin」がインストールできたら、ここまでの作業が上手くいっているかどうか確認しておきましょう。

次のページ(TOPPERS/ASPのビルドからデバッグまで~サンプルプロジェクトのビルド)を参照してください。

ただし、今回使用するソースコードはこのページの冒頭の「NUCLEO-F401RE STM32 Nucleo-64」開発ボード用のTOPPERS/ASPカーネル簡易パッケージではなく、「RL78」用のものを使います。

ソースコードのダウンロードはこちらからどうぞ。

また、「Github」を使いたい方は以下のコマンドでソースコードのクローンを行います。


$ git clone https://github.com/RyutaroMorita/asp_rl78_gcc.git

Cygwinターミナル


ダウンロードとGithub、いずれの場合も「asp_rl78_gcc」というディレクトリの名前を「asp_1.9.2」などと改名すると、上記のページと同じ状況になります。

また、今回は「OBJ」ディレクトリを作成する必要はありません。

これは既に用意されていますので、そのまま「OBJ」ディレクトリに移動し「make~」コマンドを実行してください。


コマンドライン環境で正しくビルドができることを確認したら、次回はルネサスエレクトロニクスのIDEである「e2 studio」のインストールを行っていきます。


<続く>

2022年11月23日水曜日

TOPPERS/ASP - RL78版 その1

TOPPERS/ASP - RL78版 概要

半導体メーカー大手、ルネサスエレクトロニクスの16Bitマイコン「RL78」です。

ルネサスエレクトロニクスの16Bitマイコン「RL78」


ルネサスエレクトロニクスは、いくつかの種類の16Bitマイコンを販売していますが、新規の採用を推奨されているものは、このシリーズと「R8C」だけです。

むか~しむかし、日立製作所は「H8」という16Bitマイコンを売っていました。

一方同じ頃、三菱電機が「M16C」という16Bitマイコンを売っていました。

ある時、この2社それぞれの半導体部門が分社、その半導体部門同士が合併し「ルネサステクノロジ」という会社ができました。

ルネサステクノロジは「M16C」の後継として、新たに「R8C」という16Bitマイコンを作りました。

しばらくして、そこへNECエレクトロニクスがやってきました。

NECエレクトロニクスは「78K0R」という16Bitマイコンを売っていました。

NECエレクトロニクスは仲間になりたそうにルネサステクノロジを見ています。


な なんと 半導体メーカーたちが・・・!

半導体メーカーたちが どんどん がったいしていく!


なんと ルネサスエレクトロニクスに なってしまった!


ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが合併、「ルネサスエレクトロニクス」という会社ができました。

ルネサスエレクトロニクスは「78K0R」の後継として、新たに「RL78」という16Bitマイコンを作りました。

さて、合併を繰り返して成立したルネサスエレクトロニクスは、この時点で多くの16Bitマイコンのシリーズを抱えていることになりました。

当然、同じようなカテゴリーの製品が重複するのは経営効率が悪いのでシリーズの淘汰が始まります。

まず「M16C」と「78K0R」に関しては、それぞれの後継機種が出ているので収束。

「R8C」は低コスト化、コンパクト化を推し進めて、さながら8Bitマイコンとしての立ち位置に移行。

残るは「H8」と「RL78」です。

この頃、私は「H8」を仕事に趣味にとジャンジャン愛用しており、性能、入手性の良さ、ラインナップの豊富さやペリフェラルの使い易さを気に入っていたので、「H8」だけ後継機種が出ていなくとも今後もメーカーで開発が続けられるものと信じていました。

が…!

2010年代初頭、ルネサスエレクトロニクスは「H8」シリーズの開発を収束、16Bitマイコンの開発リソースを「RL78」シリーズに集中する…というアナウンスを出しました。

なんてこった。

一般論として「RL78」が「H8」よりも優れているから、こういう結論になったはず。

ならば「RL78」とは一体!?

そういや「RL78」って地球連邦軍のMSみたいだな。

見せてもらおうか…「H8」を倒した「RL78」の性能とやらを!

…というわけで「μITRON4.0」準拠のRTOS(リアルタイムOS)であるTOPPERS/ASPを移植してみました。

(なんでやねん!)


必要なもの

今回は、RL78の中でも比較的ハイエンドな「RL78/G14」を搭載した「RL78/G14 Fast Prototyping Board」という評価ボードを使います。

こちらで買うと、3,300円くらいです。

「RL78/G14 Fast Prototyping Board」評価ボード


他の型番への移植も可能ですが、TOPPERS/ASPを搭載して動作させるならROM:128KB/RAM:8KB以上の容量を持つ型番を選びましょう。

また「RL78/G14 Fast Prototyping Board」を使用する場合、デバッガーは必要ありません。

この評価ボードには既にデバッガーも実装されています。

「RL78/G14 Fast Prototyping Board」を使用しない場合は「E2 emulator Lite」というRL78に対応したデバッガを使用する必要があります。

こちらで買うと、12,000円くらいですね。

「E2 emulator Lite」デバッガ


デバッガーとしては良心的な価格ですが、それを搭載している「RL78/G14 Fast Prototyping Board」がそれより遥かに安価なので、如何にお買い得かが分かりますね。

このブログでは「RL78/G14 Fast Prototyping Board」を使用した場合の例を説明していきたいと思います。


ダウンロード/GitHub

ソースコードの入手は、こちらからどうぞ。

なるべく定期的にメンテナンスするようにしています。

記事を書きながら再検証もしていますので、ちょこちょこ修正が入るかもしれません。

動きがおかしいな?という場合は最新版に更新をお願いします。

一連の記事が完結する頃には安定したバージョンができるかな~?


このカーネルは、かなり昔に実装したので色々忘れてます。

なんとか思い出しながら、次回以降、開発環境の構築やビルド方法を書いていきます!


<続く>

BSD 2-Clause License

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